更年期とは
更年期外来では、更年期から老年期の女性に認められる様々な心身の不調の症状・検査・相談に応じております。
お気軽にご受診ください。
女性が閉経を迎えるのは平均50歳です。この前後10年間くらいを更年期と呼び、更年期は人によって43~56歳くらいと幅があります。この時期には、卵巣機能が急激に低下し、女性ホルモンの量が減少することにより、様々な症状が起こってきます。顔のほてり、発汗、めまい、動悸といった自律神経失調症状や抑うつ気分、いらいら、意欲の減退、不安感などの精神的な症状も現れます。尿失禁、腟の乾燥感、皮膚のかさつきやかゆみ、といった症状も出ます。症状が軽く、日常生活の中でいつの間にか乗り切る人もいれば、重い症状が続く人もいます。
自律神経との関係
女性ホルモンと自律神経は深い関係にあります。女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、その司令塔となるホルモン中枢は、脳の視床下部にあります。また、自律神経の中枢も視床下部にあります。自律神経は、自分の意思にかかわりなく、呼吸・血圧・消化・排泄・体温調節など生命維持に欠かせない各臓器の働きをコントロールしている神経です。更年期の女性ホルモンの乱れは「自律神経失調症」と密接なかかわりを持っているのです。
女性を取り巻く社会的な環境
この年代の女性をとりまく環境が大きく変化するということも見逃せません。子どもの巣立ち、パートナーとの気持ちのすれ違い、近親者の介護、健康への不安、あるいは職場での軋轢などで、日常的ストレスがピークに達する人も少なくありません。女性ホルモン低下というからだの変化とこのようなこころの変化があいまって、更年期の症状が起こってくるのです。
更年期の症状への対応
更年期の症状には様々なものがあり、そのつらさやしんどさは人によって違います。「更年期だから」と我慢せず、婦人科を受診して相談して下さい。様々な治療法があります。
①低下した女性ホルモンを補う治療、②漢方薬による治療、③抗うつ薬・抗不安薬などによる治療があります。これらを一種類だけで行う場合と、組み合わせて行う場合があります。
女性ホルモン補充療法
閉経後は卵巣機能が衰えて女性ホルモンが急減します。時間の経過とともにからだはホルモンの少ない状態に慣れていきますが、様々な症状が出てきてつらい思いをする人も少なくありません。そこで飲み薬や貼り薬などで女性ホルモンを補うのがホルモン補充療法(HRT)です。
のぼせ・発汗・動悸などの血管運動神経症状に最も有効で、短期間で症状が改善します。腟の症状や性交痛、骨密度の低下などにも大きな効果が期待できます。ほかにも、更年期のうつ症状、コレステロール値が高くなるなど脂質異常症の治療、皮膚萎縮の予防など多様な症状において効果が認められています。